サピエンス全史を読み始めた(聴き始めた)きっかけ
要約については、既に素晴らしいものが出来ているので、個人的な読み始めた(聴き始めた)きっかけと、感想をまとめておきたいと思います。
サピエンス全史は、ユヴァル・ノア・ハラリ氏により書かれ、世界50か国以上で1200万部を突破した歴史超大作書籍です。日本で出版されたのは2016年で、当時から話題になっており気になっていましたが、上下巻に分かれている、総ページ数が500ページ以上という事で、読む気持ちになれずにいました。
マレーシア赴任後自動車通勤になり、行き帰りにAudibleを使い出し、サピエンス全史を見つけ、聴き始めました。
聴き始めたら、話の面白さに引き込まれてしまい、会社の行き帰りが楽しみな時間になるという副次効果まで得られました。
上下巻併せて、オーディオブックでも約23時間とかなりのボリュームですが、通勤時間を使って、無理なく読了する事が出来ました。オーディオブックを使うのはお勧めです。
今までの歴史の勉強と本と何が違うのか
私の今まで経験してきた歴史の学びは、西暦何年に何が起きたのか、個別の戦争の背景は何か、どのような理由で特定の制度が制定されたのか、歴史的な発明の背景は何かなど、個別の事象を個別に覚えたり解釈する学びでした。その為、日本史、世界史ともに個別断片的な理解でしかなく、歴史の全体的な理解は出来ていませんでした。
本作では、ホモ・サピエンスにフォーカスしており、ホモ・サピエンスという大局で物語を知る事が出来ます。自分自身の今までの歴史理解がいかに個別断片的であったかという事を再認識するとともに、ホモ・サピエンスを俯瞰した時に、我々の祖先にどのような事が起き、現在に繋がっているのかという事を全体的に理解することが出来、今まで持っていた考え方や価値観が深まった部分、変化した部分がありました。
気になったポイント
サピエンスの本質は変わっていない
ホモ・サピエンスは、認知革命、農業革命、科学革命という3つの大革命を経て、扱えることが飛躍的に増え、地球上の頂点に君臨した。
ただ、ホモ・サピエンスは、虚構を信じ想像上の秩序に従って生きるという点は、現在も変化が無い。
貨幣や宗教、政治への信奉は過去から変わっておらず、現代の日本を例にとっても、貨幣や政治に従って生きており、また、無宗教だといわれているが、資本主義という宗教のようなものを信奉して過ごしている。
行ける場所が増えて、好きな物を食べられて、色々な物を作れるようになって、扱える情報が増えていったが、貨幣や会社という虚構の秩序に従い、政治や法律の秩序に従い生きているという事は変わっていない。
生物学的なホモ・サピエンスという側面についても現時点では、過去と比較して脳が大きくなったり、筋力が強くなったという事もなく、遺伝子的にも大差は無い。
現代は大変な時代だという思い込み
俯瞰して歴史を眺める機会というのが無かったため、現在生きている時代のみを切り取り、現在生きている時代は、なんて大変な時代だと感じる事が多かった。テロ・自然災害・不況・病・貧困・人種差別などマスメディアで悲観的なニュースが誇張され、陰鬱な時代に生きているのではと思い込んでしまう事が多かった。しかしながら、サピエンスの歴史を顧みれば、食料の問題や広域での戦争の問題、病気の問題、貧困の問題などサピエンスが克服した課題は数多い。地球全体での環境問題などの大きな課題はあるが、今はとても平和で安全な時代だという事を認識した。
現代は変化の時代の真っただなか
サピエンスの本質は今までは変わらなかったが、ITやバイオテクノロジーの進歩により、サピエンスが本質的に変わる可能性が出てきている。サピエンスの遺伝子的な変化の可能性や、脳の機能をダイレクトに操作できる可能性が出てきており、次なる革命が起きる可能性が出てきている。
今まで20万年間本質的には変わる事のなかったサピエンスという存在が、次なる存在に消化する可能性がある。
これからの生活に何を活かしていくか
サピエンスの未来が明るいのか、暗いのかは私にはわからないが、過去20万年間本質的に変わる事の無かったサピエンスという存在が変化する可能性のある革命前夜のこの時代に生きているという事をまずは楽しみたいと思う。
大きな変化が起きている時に、変化を恐れ、思考停止に陥り、保守に走ってしまう事が一番のリスクではないかと思う。
現在何が起きているのかという事を知らなければ恐れがでるので、歴史を俯瞰した上で、今何が起きているのかという事を捉え、自分自身で解釈していくようにしていきたい。
また、辛い出来事や悲しいニュースに出会ってしまった時も、枝葉末節だけでなく俯瞰的に捉えられるようになったら良いなと思う。
参考リンク
サピエンス全史要約